「みなし墓地」を厳密に理解しよう
多くの寺院関係者や石材店関係者の間で、「みなし墓地」という言葉に関する誤解が存在しています。
それは、「戦前からお墓が建っていたなら“みなし墓地”と認められる」という誤解です。
墓埋法には、「みなす」という文言が8回登場します。
①都市計画事業の一部として墓地や納骨堂が新設・変更・廃止される際に、都市計画法の認可がある場合、墓埋法の許可を得たものとみなされます(墓埋法第11条1項)。
②土地区画整理事業や住宅街区整備事業の一環として墓地や納骨堂が新設・変更・廃止される際に、都市計画法の認可がある場合、墓埋法の許可を得たものとみなされます(墓埋法第11条2項)。
③昭和23年6月1日より前に、都道府県知事の許可を受けた墓地や納骨堂は、墓埋法の許可を得たものとみなされます(墓埋法第26条)。
④昭和23年6月1日より前に、都道府県知事の許可を必要としていなかった地域に存在する納骨堂は、昭和23年8月末までに新たな許可申請が必要です。その許可が下りるまで、許可を得たものとみなされます(墓埋法第27条)。
これ以降の4回の「みなす」は、墓地や納骨堂を指すものではなく、「許された埋葬とみなす」や「不服申し立てとみなす」のような規定を指します。
これらは「みなし墓地」の定義に直接関わる条文ではありません。
特に③の条文が誤解の元となっていますが、昭和23年以前から存在している墓地を指すのではなく、昭和23年以前に許可を受けていた墓地を新法でも許可済みの墓地とみなす、というのが正確な理解です。
しかしながら、「みなし墓地」として都道府県や市町村の許可を受ける際の実務には、慣習的な理解が加わることもありますが、その詳細は別項で触れます。
まずは「みなし墓地」の正確な理解から、墓地・納骨堂経営の第一歩を踏み出しましょう。
株式会社366 代表取締役 伊藤照男 ≫株式会社366≪
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