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阿育苑

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本堂の設備は、以前より少しずつ電気を使うようになっています。

照明をLEDに替える。
エアコンを入れる。
音響設備を更新する。
法要でモニターやプロジェクターを使う。
配信のためにカメラやパソコンを置く。

一つひとつは便利な設備です。

ところが、設備を少しずつ追加しているうちに、

「ここにもコンセントが欲しい」
「延長コードで届かせよう」
「電源タップをもう一つ増やそう」

となっていないでしょうか。

ここで一度確認したいことがあります。

コンセントの数を増やすことと、使える電気の量を増やすことは同じではありません。

本堂の設備を増やすときは、「どこに差すか」だけではなく、その電気がどの回路から来ているのかまで考える必要があります。

まず「法要の日に同時に使うもの」を書き出す

電気容量を考えるとき、設備を一台ずつ見るだけでは十分ではありません。

重要なのは、

「同じ時間に何を使うのか」

です。

たとえば夏の法要なら、

  • 本堂の照明
  • エアコン
  • マイク・アンプなどの音響設備
  • モニターやプロジェクター
  • 配信用のパソコンやカメラ
  • その他の電気機器

が同時に動くことがあります。

普段は問題がなくても、大きな法要の日だけブレーカーが落ちるなら、こうした「同時使用」が関係している可能性があります。

設備を増やす前に、まず紙へ、

「本堂で一番電気を使う日の機器一覧」

を書き出してみます。

これだけでも、電気工事業者へ相談するときの話がかなり具体的になります。

「コンセントを増やす」だけでは解決しないことがある

壁のコンセントが足りなければ、増設したくなります。

もちろん、必要な場所にコンセントを設けること自体は悪いことではありません。

しかし、新しいコンセントを既存の同じ分岐回路へ追加しただけなら、その回路で安全に使える電気容量そのものが増えたとは限りません。

分電盤では、建物へ来た電気を複数の回路へ分け、各回路をブレーカーで保護しています。

ですから、

「差す場所がある」ことと、「そこから必要な電気を安全に使える」ことは別です。

特にエアコンなど消費電力の大きな設備を新設するときは、専用回路が必要かどうかも含め、電気工事業者に確認する必要があります。

電源タップは「使える電気を増やす道具」ではない

コンセントが足りないとき、最も手軽なのが電源タップです。

しかし、差込口を増やしても元の電源容量は増えません。

NITE(製品評価技術基盤機構)は、テーブルタップや延長コードには接続可能な最大消費電力が定められており、それを超えて使用すると異常発熱や発火につながるおそれがあるとして注意を呼びかけています。消費電力の大きな機器では、延長コードやテーブルタップ自体の使用が適さない場合もあります。

つまり、

「差込口が6個あるから6台使える」とは限りません。

見るべきなのは差込口の数ではなく、そこにつなぐ機器の消費電力と、その配線器具の定格です。

本堂の隅で何年も使われ続けている電源タップがあれば、一度確認してみる価値があります。

ブレーカーが落ちたら、「何を使っていたか」を残しておく

もし法要中にブレーカーが落ちたことがあるなら、

「電気を使いすぎたのだろう」

だけで終わらせない方がよいでしょう。

そのとき、

何を同時に使っていたか。
どのブレーカーが落ちたか。

を記録します。

スマートフォンで分電盤を撮影しておくだけでも構いません。

特定の分岐ブレーカーだけが落ちるのであれば、その回路に接続された設備を確認する手掛かりになります。

一方、漏電遮断器が作動した場合などは、単純な使い過ぎとは限りません。

何度もブレーカーを上げ直して使い続けるのではなく、原因を電気工事業者に確認します。

寺院側で分電盤の内部を開けたり、配線へ触れたりする必要はありません。

分電盤に「何の回路か」書いてありますか?

一度、本堂の分電盤を外から見てみてください。

各ブレーカーに、

「内陣照明」
「外陣コンセント」
「音響」
「エアコン」

などの表示はあるでしょうか。

古い建物では、

「本堂」
「庫裏」

程度しか書かれていなかったり、表示が消えていたりすることがあります。

普段は困りません。

しかし設備を追加するとき、

どのコンセントがどの回路なのか。
照明とコンセントは同じ回路なのか。
エアコンは専用回路なのか。

が分からないと、調査から始めることになります。

本堂の改修や電気工事を行う機会があれば、

分電盤の回路表示も整理してもらう。

これは小さなことですが、数年後の設備更新にも役立ちます。

コンセントは「数」だけでなく「場所」も考える

容量に問題がなくても、コンセントの位置が悪ければ延長コードが増えます。

たとえば法要のたびに、

本堂中央を電源コードが横切る。
参拝者の足元へコードを這わせる。
音響や映像機器のために長い延長コードを引く。

という状態になっていないでしょうか。

これは電気容量とは別の問題です。

将来、

どこで法話をするのか。
どこへ映像機器を置くのか。
配信をするならどこへ機材を置くのか。

まで考えてコンセントを配置しておけば、後から本堂の中へコードを這わせる必要を減らせます。

照明、空調、音響と同じで、電気も、

「設備を買ってから電源を考える」のではなく、本堂の使い方と一緒に考える

方が納まりやすくなります。

焦げ・変色・異臭があれば、そのまま使わない

寺院側でも確認できる異常があります。

コンセントや電源タップに、

  • 焦げた跡がある
  • 変色している
  • プラグが変形している
  • 使用中に異常に熱くなる
  • 焦げたような臭いがする
  • プラグの差し込みが緩い

といった状態があれば、そのまま使い続けない方が安全です。

またNITEは、コンセントや電源プラグ周辺のほこり・水分、変形したプラグ、コードへの無理な力なども発火事故の原因になり得るとして注意を促しています。

本堂では、仏具や家具の陰に隠れ、何年も差しっぱなしになっているプラグもあります。

大掃除のときだけでなく、設備を見直すときに一度、

「長期間見ていないコンセントはないか」

まで確認してみます。

改修するときは「電気の余白」も聞いておく

本堂を改修するとき、10年後に使うすべての電気機器まで予測することはできません。

今後、映像設備や通信機器などが増える可能性もあります。

そこで電気工事の際、

「現在の設備で容量は足りているか」

だけでなく、

「将来もう少し設備が増えた場合、対応できる余地はあるか」

も聞いておくとよいでしょう。

分電盤に回路を追加する余地があるのか。

新しい配線を通しやすい経路があるのか。

将来設備が増えそうな位置まで電源を考えておくべきか。

必要以上に大きな設備を入れる必要はありません。

目的は、

後から延長コードと電源タップだらけにしなくても済む本堂にしておくこと

です。

10分でできる「本堂の電気チェック」

専門家を呼ぶ前に、一度本堂を歩いてみます。

確認するのは次の6点です。

  1. 法要の日に同時に使う電気機器は何か
  2. 延長コードや電源タップを常設していないか
  3. 一つの電源タップへ機器が集中していないか
  4. コンセントやプラグに焦げ・変色・緩みがないか
  5. 分電盤の回路表示が読めるか
  6. 過去にブレーカーが落ちたことがあるか

ここまで確認したうえで電気工事業者へ、

「本堂ではこの設備を同時に使います。現在の回路で問題ありませんか」

と尋ねます。

「コンセントを増やしたいのですが」だけより、ずっと適切な相談になります。

まとめ

本堂の電気設備で大切なのは、コンセントをたくさんつくることではありません。

必要な設備へ、安全に電気を届けられる状態をつくることです。

LED。
エアコン。
音響。
映像。
配信。

設備を少しずつ追加してきた本堂ほど、一度「電気の通り道」も確認してみる価値があります。

最初に見るのは、

「一番設備を使う法要の日に、何が同時に動いているか」

です。

そこから、

コンセントの位置を変えればよいのか。
専用回路が必要なのか。
分電盤まで見直した方がよいのか。

を専門家と整理していけばよいでしょう。

本堂の改修や、照明・空調・音響など複数の設備をまとめて見直す段階でもご相談いただけます。

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