納骨堂の経営許可をめぐる新しい判決
5月9日、大阪市内に2019年に建設された納骨堂に対し、市から与えられた経営許可を巡り、新しい見解の判決が下りました。
判決を下したのは、最高裁判所。小法廷の裁判官5人全員一致の判断でした。
納骨堂に経営許可を与えた大阪市長を相手取って、許可の取り消しを求める「訴えを起こす権利」(原告適格)を住民に認める、という趣旨のものです。
過去同じような裁判で最高裁は、地方自治体の許可は公益的な判断によって実施され、個々の住民の利益を保護するものではないとして、「原告適格」を否定する趣旨の判決を行なっていました。 今回はそれを覆すものです。
ただし、原告適格が認められたからといって、住民と大阪市との裁判が、住民勝利=許可の取り消し等につながるかどうかは、まだなんとも言えません。裁判というリングの上に立つ権利が認められたところで、リング上の勝負はこれから、ということです。
今回は納骨堂が対象でしたが、墓地の経営許可も同じ理屈が適用されるはずです。また、経営許可が条例で運用されているのか、市長などの権限の範囲が広い要綱などで運用されているかによっても、結末が異なってくるかもしれません。
ただし、住民からすれば、リングにも上がれず泣き寝入りとされてきた状況から、裁判所で戦える状況になったことで、墓地・納骨堂の許可のあり方を変える、大きなきっかけになったかもしれません。
今後のコラムでも経過を伝えていきたいと思います。
株式会社366 代表取締役CEO 伊藤照男 ≫株式会社366≪