公益事業としての墓地
お寺などの宗教法人でも、檀信徒に限らず、広く一般市民に利用できる墓地を経営することができます。
こうした墓地は、「檀信徒墓地」と区別して、「霊園」と呼ばれることがあります。
檀信徒を対象にした墓地は「宗教事業」としての墓地、檀信徒以外の一般市民も利用できる墓地は「公益事業」としての墓地とも言います。
ご僧侶の中には、檀信徒以外が利用できる公益事業墓地のことを、営利事業と理解されている方も見受けられますが、それは誤解です。そもそも、営利事業として墓地を行うことは法律が許していません。
ここでいう公益とは、特定の手段に所属している人の利益(=共益)ではなく、広く社会の公共の利益のことであり、お寺の支え手である、檀信徒の共益に限定されないという意味です。
ちなみに「公」という漢字は、大きな広場で行われる行事やそこに集まる人の様子から成立したそうです。
宗教法人法第6条には「宗教法人は、公益事業を行うことができる」との記載があり、お寺は檀信徒のためだけでなく、一般市民のための事業も行うことができます。言われてみれば、当然にも思えますよね。
ただし、自治体によっては、宗教法人が信者向け以外の墓地を経営することに、許可を降ろさない方針を持っているケースがあります。
「市民の墓地ニーズは自治体がカバーするのが基本。お寺が経営できるのは檀信徒向けの宗教事業墓地のみ」という考え方です。
なお、公益事業として墓地を始めるためには、都道府県・市町村の許可を得るだけではなく、お寺であれば本山への届出や寺院規則の改正も必要ですが、手付きを知らずにいるお寺の住職も少なくはないので、一度、ご自身のお寺の状況を確認してみてはいかがでしょうか。
株式会社366 代表取締役 伊藤照男 ≫株式会社366≪
伊藤さんはご寺院向けの無料セミナーを定期的に開催されておられます。
有益な情報が得られる充実の内容となっていますので皆様ぜひご参加ください。