墓地の名義貸し
日本の多くの都道府県では、墓地や納骨堂を、株式会社が経営することはできません。
墓地・納骨堂の経営は、都道府県知事の「許可」を取得しなくてはいけないことと「墓地・埋葬等に関する法律」で定められています。
しかし、墓地経営の許可を受けることができる主体については、法律には明記されていません。
では、なぜ株式会社などの営利企業は、墓地経営ができないのか。その根拠は、厚労省が出す通達等にあります。
「墓地・埋葬等に関する法律」は厚労省の担当です。厚労省は、墓地・納骨堂経営の許可を出す都道府県知事などに宛てて、法律運用の具体的な指針として、各種の通知を行っています。 こうした通知の中で厚労省は、過去何度にもわたって、「墓地経営主体は、市町村等の地方公共団体が原則であり、これによりがたい事情があっても宗教法人又は公益法人等に限られること」という考え方を示しています。
さらに厚労省は、経営主体を限定する理由として、墓地の「永続性」と「非営利性」の確保をあげています。この点の説明は、別な機会にしたいと思います。
ところで墓地や納骨堂の業界では、こうした法の精神を蔑ろにする「名義貸し」が、多く存在します。
お寺は宗教法人の名前を株式会社などの営利企業に預け、事実上、その経営を企業が主体的に行う形です。 このような経営実態の墓地・納骨堂は、皆さんの周りに少なくありません。
「A霊園でお墓を購入した。契約書には宗教法人B寺と書いてあるけど、お坊さんらしい人とは話してない」といったケースは、名義貸しが疑われるケースです。
墓地や納骨堂の破綻のニュースが上がる度に、こうした名義貸しを糾弾する声が上がります。
墓地の名義貸しは、それを推進する企業だけの問題ではなく、立法の精神を理解しないお寺にも原因があります。
コンプライアンスに誠実なお寺が、市民の共感を得る時代だと私は考えています。
株式会社366 代表取締役 伊藤照男 ≫株式会社366≪
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