無縁・無葬・無墓
いま、葬送を取り巻く大きなテーマとなっているのは「無縁・無葬・無墓」の潮流です。
総務省は今年、相次いで無縁に関する調査を行い、その結果を公表しました。
親族などの引き取り手がいない死者が、2018年4月から2021年10月の3年半の間に、10万5773件に上ったことを今年の3月に発表しました。
5月には、各地の市区町村が庁舎内で遺骨の保管を行っていること、その数が全国で6万骨に達していることを公表しました。
さらに9月には、全国の公営墓地・納骨堂を有する市町村のうち、58%の自治体が無縁墓を抱えていることが明らかとなりました。
大阪市では、市内で亡くなる方の9人に1人が引き取り手のない遺骨となっています。
「無縁・無葬・無墓」はもはや、将来の話ではなく、現在の現実として存在しています。
確かに、過去にも「無縁・無葬・無墓」で亡くなる方はいました。
しかし、現在浮き彫りになっているのは、それが限られた少数の話ではなく、全体としての現象であることです。
また、経済的に困窮している人たちだけの問題ではなく、多様な生き方が普及している現代で、「普通のこと」として捉えられるようになってきたことが、特徴的です。
この潮流に対し、「有縁・有葬・有墓」を維持する方向に進むのか、あるいは3つの「無」を受け入れ、それに順応する社会を築くのか。現在、後者の考え方を支持する人々が増えてきているように感じます。
家族葬や樹木葬の拡大は、その傾向の一例と言えるでしょう。
変化はまだ続いています。その変化の先行きに注目し続けたいと思います。
株式会社366 代表取締役 伊藤照男 ≫株式会社366≪
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