変わる”コンプラ”と勘違いの”みなし墓地”
「コンプライアンス」という言葉が耳目を集めるようになったのは、2001年にアメリカで発生したエンロン事件が契機。企業や関係機関での、不正行為や倫理違反が、国民レベルの経済的損失をもたらす事象が続いたことから、法令遵守や企業倫理、組織の内部統制、情報開示といったルールが次々と制度化されました。 「コンプラ」はその内容や強度を変化させながら、法制度のみならず、市民の日常意識にも逆浸透を続けています。
住職の皆様方にも、どんぶり勘定の会計処理や曖昧な許認可の状況を嫌い、適正な寺院運営を模索する方が増えていると感じます。他方で、社会が僧侶に向ける眼差しも、「宗教者なのだから一般市民よりも高い倫理を」という感覚が増しているのではないでしょうか。
そんなご時世にあって、少なくない寺院が勘違いしていたり、曖昧にしているのが、墓地や納骨堂の経営許可のことです。 ご僧侶の修行の中に墓地経営の学習機会がないことや、歴史的に墓地経営のサポート役だった石材店が、墓地の経営許可取得について、ほとんどと言っていいほど無関心であったことにも起因していると思われますが、墓地の経営許可や「みなし墓地」という言葉を誤解しているご僧侶があまりに多いのが実態です。
それ違法ですーー。 お寺を訪問して、そう申し上げたくなるお寺は決して少なくありません。 2022年に北海道で起きた納骨堂破綻のような事件が起きると、これまで何の指摘も受けてこなかった違法墓地・違法納骨堂が、お咎めを受けるようなことがないとは言い切れません。
”コンプラ”は変化します。これまで問題にならなかったことが、今後問題になることもあるのです。 墓地や納骨堂のコンプライアンスの何が問題なのか。 今後の記事で、お伝えしていこうと思います。
株式会社366 代表取締役CEO 伊藤照男 ≫株式会社366≪