須弥壇と山
古代インドの思想には、世界の中心にある須弥山という山に天人や神々が住むという考えがありました。
その思想は仏教にも取り入れられ須弥山は仏教を守る役割を担うとされました。
須弥山からさらに上の空中には明王、菩薩、如来という階層があります。
逆に須弥山のすそ野には人間界があり、須弥山はその人間界と地続きの迷いの世界ということになります。
そうした私たちのいる迷いの世界に、頂点の如来の世界から阿弥陀如来様が降臨され私たちをお救いくださるという表現をしているのが、現在お寺で見ることができる須弥壇の上に阿弥陀様がご安置されているお荘厳スタイルです。
この須弥山ですが一説にはチベットのカイラス山がモデルになっているという説があります。
なるほど、こうして見比べると何層にも積まれた須弥壇とカイラス山の雪の横線の雰囲気がどことなく似ている気がします。
また先に述べたように須弥山は仏教を守る役割のためその中腹には龍や獅子の彫刻が施されているのかもしれません。
普段何気なく見ているお内陣には、布教のために先人が知恵を絞った演出がそこかしこにちりばめられているのです。